最終更新:2026年8月31日|観光庁の最新資料を確認して更新しました。
ホテル運営の利益は、稼働率を上げるだけでは改善しません。安売りで満室にしても、OTA手数料、清掃、リネン、決済、朝食などの費用が増え、利益が残らない場合があるからです。ADR、RevPAR、チャネル別手取り、1室当たりの変動費を一緒に見ることが出発点です。
月間売上ではなく、「1室を販売したときにいくら残るか」と「固定費を回収するには何室必要か」を確認します。セルフチェックインなどの省力化は、人をゼロにする計画ではなく、減らせた作業時間を販売・接客・品質管理へ振り向ける計画にします。
最初に見る5つの指標
| 指標 | 計算式 | 分かること |
|---|---|---|
| 稼働率 | 販売室数 ÷ 販売可能室数 | 客室がどれだけ売れたか |
| ADR | 客室売上 ÷ 販売室数 | 販売した客室の平均単価 |
| RevPAR | 客室売上 ÷ 販売可能室数 | 単価と稼働率を合わせた客室収益 |
| チャネル別手取り | 売上 − 手数料 − 決済費等 | 予約経路ごとの実収入 |
| 1室限界利益 | 手取り − 清掃・リネン等の変動費 | 1室売れるごとに固定費回収へ回る金額 |
例として、ADR1万円・稼働率80%ならRevPARは8,000円、ADR1万4,000円・稼働率60%なら8,400円です。ただしRevPARも利益そのものではありません。手数料と変動費を引いた手取りまで確認します。
利益を改善する7つの方法
1.日別・部屋別・予約経路別に数字を分ける
直近90日を、宿泊日、部屋タイプ、予約経路、プラン、人数ごとに集計します。売れているのに利益が薄い日と、在庫を残している日を分けると、直す場所が見えます。
2.値下げ前に販売下限を決める
最低価格は競合料金だけで決めず、「1室の変動費+販売費+確保したい限界利益」から逆算します。清掃や朝食の原価を下回る追加人数料金、OTA手数料を含めていない料金を見直します。
3.稼働率ではなくRevPARと手取りを追う
満室でも利益が減る販売はあります。ADR、RevPAR、チャネル別の手数料、清掃などの変動作業を同じ表で確認し、利益が残る組み合わせを探します。
4.需要に合わせて料金と在庫を調整する
曜日、イベント、予約の入り方、残室、キャンセル率を見て料金と販売制限を調整します。弱い日は単純な値下げではなく、連泊、朝食、駐車場、レイトチェックアウトなど価値の違うプランを用意します。
5.OTAごとの役割を決める
OTAは新規顧客や海外需要を得る重要な販路です。予約経路ごとに「集客」「特定市場」「閑散日対策」などの役割を決め、手取り、キャンセル率、滞在日数で評価します。
6.自社予約は値引き以外の価値を作る
レイトチェックアウト、地域案内、部屋希望の受付など、原価が比較的小さい特典を設計します。広告費、決済費、システム費を含めた獲得単価でOTAと比較してください。
7.省力化は「人をゼロにする」計画にしない
PMS、サイトコントローラー、自動決済、セルフチェックインは、転記や待ち時間を減らす道具です。本人確認、問い合わせ、障害、緊急対応、清掃確認は残ります。削減時間と導入・保守費を測り、空いた時間を接客や販売へ再配置します。
セルフチェックイン導入前の採算表
| 項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 初期費用 | 端末、鍵、カメラ、ネットワーク、施工、システム連携 |
| 月額費用 | PMS、決済、通信、保守、サポート |
| 削減候補 | 転記、鍵渡し、深夜待機、決済処理の時間 |
| 新たな業務 | 本人確認、監視、問い合わせ、駆け付け、障害対応 |
| 品質指標 | 所要時間、失敗率、問い合わせ率、口コミ |
30日で進める改善手順
- 1週目:直近90日のADR、稼働率、RevPAR、手取り、キャンセル率を集計
- 2週目:変動費と販売費を計算し、販売下限を設定
- 3週目:需要の強い日と弱い日を分け、在庫とプランを調整
- 4週目:転記、事前案内、決済など時間の多い業務を1つだけ自動化し、失敗率と削減時間を測定
よくある質問
稼働率を上げれば利益も増えますか?
必ずしも増えません。値下げ、OTA手数料、清掃や朝食などの変動費を引き、1室限界利益とRevPARを一緒に見てください。
セルフチェックインで人件費をゼロにできますか?
できません。本人確認、問い合わせ、機器障害、緊急対応、品質管理が残ります。削減時間と新しい運用費を比較する必要があります。
OTAをやめて自社予約だけにすべきですか?
一律に減らすのではなく、手取り、集客力、キャンセル率、滞在日数で役割を決めます。自社予約にも広告・決済・システム費がかかります。
この記事の計算例は一般的な経営管理の考え方です。税務・会計の判断は、実際の契約と費用を基に税理士などの専門家へ確認してください。
